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経済とは、「暮らし」のことです。必修科目〜お金の常識

                         -ファイナンシャルプランナー 鯵坂 亮のコラム-


Vol,7 ◆『セット商品は買い得か?』◆
 
突然ですが・・『北海道産・かに・鮭・イクラの特製海鮮丼』などと聞けば、私などは思わずあの後光の差す
如き神々しいドンブリの画像が目に浮かびます。また、ハンバーグ+オムライスコンビとか、ひとくちかつ+
コロッケ+ソーセージのミックスグリル定食などにも目が無い私です。(殆どコドモです) 色々の種類が沢山
入って贅沢とか豪華組み合わせ、という商品には何か不思議な魅力を感じてしまうものであります。
しかしながら組み合わせ商品というものには、ひとつ間違えれば利用者側の誤解や勘違いによってミスマッチ
商品に変身してしまう
危険性が潜んでいるとも言えます。
特製海鮮丼でイクラやカニが極端に少なくてほとんど鮭ばかりであったとしても、これは一目瞭然ですから、
よほどのボッタクリ価格でもなければ、まあこんなものかと諦めるでしょう。(または二度と注文しない?)
しかし、目に見えず内容の分かり難い商品の代表格である金融商品や保険商品のセット商品、パッケージ
商品となると少し事情が異なります。内容をよく理解しないままに或いは勘違いしたままに数年が経過し、
あるときやっと勘違いに気付いたがもはや手遅れであったなどというアブナイ場合もあるのです。
私の手元に大手銀行のある組み合わせ商品のパンフレットがあります。投資信託と外貨預金と定期預金の
組み合わせ商品
です。(なんとかいう横文字の商品名がついてます)
定期預金は基本的に元本割れすることはなく、リスクは限りなくゼロに近い商品です。
しかし、投資信託は元本割れの可能性のある純然たるリスク商品ですし、外貨預金は外貨単位では元本
保証ですが、為替変動によって円の単位では元本割れもあり得るリスク商品です。
銀行預金のあまりの低金利に嫌気が差している預金者向けに、投資信託と外貨預金を同時契約することを
条件に高めの金利を設定して販売されているのがこの組み合わせ商品です。
「退職金運用お薦めプラン」などと命名されたこの商品は実際には明らかな「リスク商品」であるのに
いかにも「元本保証商品」であるかのような錯覚を起しやすい、「分かりにくい商品」
に他ならないと私は
思います。あえてそうした反応を狙っているのだと指摘する研究者さえ存在します。
さて生命保険の世界に目を向けると、こちらにもけっこうそうした分かりにくい組み合わせ商品があるのです。
たとえば「定期保険特約付き終身保険」という保険の場合は、このネーミングでは通常終身保険がメインで
定期保険はサブと思うのが普通の感覚だと思います。
しかし実際には契約者の払う保険料の割り振りを見ても、或いは死亡保険金額の比率を見てもメインと
思われる終身保険はほんの一部でしかなく、残りの殆どの部分が定期保険特約
である場合があります。
(結構多いのですこれが)
保険金額200万円の終身保険と4800万円の定期保険特約の組み合わせ商品の場合には200万円
のみが終身保障であり、4800万円については10年とか15年とかで保障が終わるわけです。
ところが「定期特約付き終身保険」というネーミングでは、合計保障額の5000万円が終身保障(つまり
生涯保障されている)であると思い込んでしまうひとは決して少なくはないはずです。(私は保険相談で
何回もこうした誤解に直面してきました)
必要な保険をピックアップしてそれらを組み合わせること自体は良いのですから、組み合わせ商品が
良くないとは思いません。しかしそれを販売する者が複数の保障が組み合わさっている商品を全体を
ひとつのものとして説明するだけでは、そして実際にはメインである要素がサブのように受け取られ
やすいネーミングだったり説明資料だったりすれば、こうした誤解が生じやすいと思います。
説明する側もひょっとすると「誤解されてもいい」と考えて曖昧な説明をしている場合すらあるかもしれ
ません。上記の研究者のようにあえて誤解されることを狙っているのではとの意見もあるわけです。
「○○付き」とか「セットだからお得」などのセールストークに出会ったときは、「それらは何ゆえに
くっついている必要があるのか」という疑問を持ち、そして一度各要素のそれぞれを個別に検討して
みる
という習慣が必要だと思います。


 

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